・にがうり
・茶色の古いくすりびん





にがうり



ふん、と口をまげて苦笑いしたら
自分がその中に落ちてしまった
にがいものが体中にまといついて
口にも鼻にも
目にまで入りこんできて

にがうりになってしまったわたしは いま

あの苦笑いの相手に
俎板の上で切りきざまれている

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茶色の古いくすりびん



茶色の古いくすりびんがでてきた
外側からのぞくと
川のある風景が見える
中をのぞいても ただのからっぽ
もういちど外側からのぞいてみる

わたしはあの川を舟に乗せられて
ここへ来たのかもしれない
そう思いながらのぞいていると

とうとう
かあかあ
と泣いてた記憶がある

とうとう
かあかあ

いくら泣いても
とうとう かあかあは 遠くなるばかりで

びんの中の風景を見ながら
とうとう
かあかあ
と呼んでいるわたしの声を聞いている

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「にがうり」 2011.11 / 「茶色の古いくすりびん」 2011.11