・なきむしけむし

・なみだ
・虹が出るまで






なきむしけむし



なきむしけむしは
泣いても泣いても泣き切れないで
いつまでも泣きっぱなしに泣いていて
とうとう蝶になれないまま
それも悲しくてまだ泣きながら歩いていたら
川へころげ落ちた
川の中でも泣いているなきむしけむしのそばを
小魚たちが泳いでいく
なきむしけむしはまだまだ泣きながら
小魚たちのあとついていく
うちに
とうとう魚になった

なきむしけむしだったことなど忘れて
新しい仲間と泳ぎながら
泣きたいものがこみ上げてくるときがあってこれってなんだろう
知っているのに分からないもの
とても大切なようなもの
 
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なみだ



ぽろっ、とこぼれた
自分のなみだの中へ入ってしまった
果てしなく広い
わたしという宇宙
そのまん中に
わたしが
いる
 
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虹が出るまで


銀色の蛇が
目の前を走りぬけた
わたしの稲妻

外で雷が鳴る
稲妻が光る
はげしい雨の音

それに反比例して
わたしの緊張が
ゆるんでいく
あんなに思いつめていたものが
わたしの思い過ごしだった
ような気になってくる

みんなだんだん静かになって

 「虹だよう!」
弟がうれしそうに叫んでいる

 

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「なきむしけむし」 2013.7.29 

「なみだ」     2013.8.7

「虹が出るまで」  2013.8.14

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