夏雲/仲間/希望/標本/2012年8月14日

 

・夏雲

・仲間

・希望
・標本




夏雲

 

夏雲

なのに

 

白くまが

雪にうもれて

思案している

 

夏雲なのに

 

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仲間

 

わあわあさわぎながら掘って

そのまま

少年たちは帰ってしまった

あと

ひとりに残った穴は

とまどっている

それで

ぼくはどうすればいいの

 

通るものは風ばかり

穴の方など見向きもしないで吹いていく風

ばかり

....

夜がきて

....

朝がきて

....

夜がきて

....

朝がきて

....

 

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希望

 

空に向かって

自分の名前を

大きな声で叫ぶ

それが

宇宙をゆっくり回って

 

おとなになったわたしの

もしかすると老人になってからのわたしの

うしろから

あるとき

その声が

そのまま

わたしに向かって叫ぶ

とうとう見つけたというように

よろこびと

おどろきの声で

 

 

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標本 

 

泳いでいくわたしに

海草がからみついてくる

ふり切るようにしながら泳いでも

泳ぐほどいくらでもからみついてくる

 

とうとう

わたしは海草に飲み込まれて

海草が泳いでいく

海草は太りながら泳いでいく

泳いで泳いで

太って太って

 

ある海岸にたどり着いた太った海草は

ニュースになった

みんな集まって

学校の理科室に置く相談をしている

 

わたしの存在は

とうとう

だれも気づかないまま