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時間割にない時間 (かど創房)



・雲が通る <
・春がなわとびしています
・ゆびわ
・だれかさん
・かたかたさん
・未知へ
・ぼくんち
・こんないい天気なのに
・えんぴつ
・凧 (たこ)
・北風の中
・まほうつかい
・春一番
・ほおずき
・つくし
・たつのおとしご
・かかし
・こんぺいとう
・やどかり
・となりの客はよく柿食う客だ
・おまえのまえがみさげまえがみ
・蟻 (あり)
・事件
・お寺の桜が満開だ







雲が通る


雲が通る
いいお天気ですねといって通る
友達みたいな顔して通る

雲が通る
わたしみたいにまるっこい形して
ふわふわしあわせそうに通る

雲が通る
遠くへ旅に行くらしいのに
散歩みたいに気軽に通る

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春がなわとびしています


春がなわとびしています
はな咲く村のひるさがり
ちょうちょもいっしょになかまいり

春がなわとびしています
とろりまどろむうす月が
これはわたしのゆめのなか

春がなわとびしています
風がくるくるまわすなわ
花びらもきてなかまいり

春がなわとびしています
学校の鐘が鳴ってます
もうこどもらも帰るころ

注:
「ちょうちょ」=ちょうちょう(のこと)
「うす月」=うすづき

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ゆびわ


きのうゆびわを買いました
おもちゃやさんで買いました
わたしは青いゆびわです
ゆみこちゃんは赤いゆびわです

けさゆびわをとりかえました
なかよしのしるしと言いました
ゆみこちゃんはくすり指にはめました
わたしもくすり指にはめました

わたしの指には赤いゆびわが光ります
ゆみこちゃんの指には青いゆびわが光ります
ゆみこちゃんがうふっとわらいました
わたしもうふっとわらいました

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だれかさん


七面鳥 七面鳥
七面鳥がわらってる
と思ったのに あれ
もうないている

七面鳥 七面鳥
七面鳥がおこってる
と思ったのに あれ
もう唄ってる

七面鳥 七面鳥
七面鳥がおめかししてる
と思ったのに あれ
もうすねている
七面鳥 七面鳥
七面鳥ってだれのこと
気まぐればっかりするけれど
ほんとはかわいい だれかさん

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かたかたさん


かたかたいうのはだれでしょう
かたかたいうのはかたかたさん
あれは風のこどもでしょう
きっと遊びにきたのでしょう

かたかたさんちはどこでしょう
かたかたさんちはかたかた町
山の向こうの町でしょう
かたかた機織る町でしょう
かたかた呼んでるかたかたさん
もうこんなに夜も更けたから
わたしもいい子でねむるから
おまえも帰っておやすみよ

注:「かたかた町」=かたかた ちょう
「向こうの町」=むこうの まち
「機織る」=はたおる


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未知へ


わたしが響いている
透明な殻の中で響いている
ありったけ響いている
外はもうすぐ春らしい

わたしが響いている
痛いほど響いている
あふれるほど響いている
もうすぐわたしは割れるのだ

わたしが響いている
おもてへこだまして響いている
まだ見たこともない山へ胸をときめかして
わたしが響いている

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ぼくんち


ぼくんち坂の上三番地
この路地の奥の三げん目
白いひげ生やしたおじいさんがいたら
それがぼくのおじいさん

ぼくんち坂の上三番地
花がいっぱい咲いている
かっぽう着掛けているおばあさんがいたら
それがぼくのおばあさん

ぼくんち坂の上三番地
まっ黒なねこを飼っている
口笛吹いている男の子がいたら
それがつまりこのぼくさ

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こんないい天気なのに


いっしょに行こうとさそわれたとき
だまってかぶりをふったっけ
どうしてさときかれたから
どうしてでもと言ったっけ
いっしょに行けばよかったんだ
こんないい天気なのにひとりぼっちだなんて

行けば行ったで
早く帰りたいと思ったかも知れないけれど
来なけりゃよかったと思ったかも知れないけれど

やっぱりいっしょに行けばよかったんだ
こんないい天気なのにひとりぼっちだなんて

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えんぴつ


えんぴつ えんえん
陽気な泣き虫こぞうが主人

えんぴつ ひつひつ
青いふでばこの中

えんぴつ しんしん
夜更けの机の上

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凧よお
風にさわったかあ
雲にさわったかあ
凧よお
空にとどいたかあ
こんどぼくと代ってみてくれないかあ

注:
「凧」=たこ


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北風の中


北風の中ぼくは駈けていく
北風の中ぼくはまたころぶ

北風ごうごう吼えている
北風もやっぱりさがしている

北風の中ぼくは夢を割る
北風の中ぼくの少年期

北風北風もっと吹け
ぼくももっと高く跳ぶ

注:
「吼えて」=ほえて


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まほうつかい


まほうつかいというけれど
まんとを着ているわけじゃなし
まほうつかいといったって
見た目はただのおばあさん

まほうつかいに逢ったって
おやお使いかえときくだけで
気をつけてねというだけで
やさしいふつうのおばあさん

まほうつかいというけれど
のぞくといつも針仕事
ほんとにまほうつかいかな
いちどきいてみようかな

まほうつかいというけれど
ほうきでいつも庭そうじ
働き者のおばあさん
うちのとなりのおばあさん

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春一番


北風将軍がおくさんに手伝わせて冬をたたんでいる
そんなときの北風将軍はとてもやさしい紳士だ
ああだいぶ今年もがんばった
早くうちへ帰ってゆっくり休むとしようと
おくさんに話している
あとはよろしくたのみますと
春の妖精にあいさつして
ふたりがあくしゅをしたとたん
ひゆうと強い風が吹いて
春一番

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ほおずき


あかいほおずきの行列が通る夜は
とても心がときめいて
ねむれずにじっと耳をすましていた

あかいほおずきの行列はしずしずと
はなよめさまの行列のように
あかいほおずき畑へ行くところ

粗朶小屋のうらのほおずき畑が
こんやはずいぶんさわがしい
いつもの風とはちがいます

こどものわたしだけじゃなく
かあさんまでが心ときめいて
なぜかねむれずにいるようす

あかいほおずきの行列が通りすぎるとき
はなやぐ音をきいていた
わたしも熱にほてりながら

注:
「粗朶小屋」=そだ ごや
* (そだ…たきぎなどにするために きりとった木のえだ)

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つくし


つくし
はなぐしもっている

つくし
はなぐしどこにさす

つくし
はなぐしそらにさす

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たつのおとしご


たつのおとしごどこから落ちた
父さんの肩から落ちた

たつのおとしごどうして落ちた
よそ見していて落ちた

たつのおとしご父さんはどうした
いちばん高い山へ登っていった

たつのおとしごこれからどうする
大きくなって龍になる

注:
「龍」=たつ
* (龍…りゅう。竜の旧字体。文字や絵柄が凧の図案によく使われる)


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かかし


かかしかかし
手紙を書かっせ
総理大臣に書かっせ
田んぼはあきたと書かっせ

かかしかかし
ほしいものを書かっせ
嫁がほしいと書かっせ
足をもう一本ほしいと書かっせ

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こんぺいとう


こんぺいとう
すました少女
こんぺいとう
うそつき少女
こんぺいとう
こにくい手足
こんぺいとう
おれはひとさらいだぞう

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やどかり


波にさらわれて岩の上に落ちて
空家をかりてくらしはじめた

やどかりさんとよばれてくらしている
こちらに来たらたずねておくれ

やどかり岩のやどかりさんと
そのへんできけばだれでも知っている

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となりの客はよく柿食う客だ


となりの客はよく柿食う客だ
となりにはよく客がある
柿食いにくる客がある
となりの客はよく柿食う客だ
となりにはよく客がある
となりの柿はよく客食う柿だ
今日もまた客がひとり入ったままだ
となりの柿はよく客食う柿だ

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おまえのまえがみさげまえがみ


おまえのまえがみさげまえがみ
いつまでこどもじゃないのに
おまえのまえがみさげまえがみ
もうすぐ十五になるのに
おまえのまえがみさげまえがみ
あげたかんざしどうしたの
まえがみあげてうしろでゆって
かんざしさしてでておいで
おまえのまえがみさげまえがみ
いつまでこどもじゃないのに
おまえのまえがみさげまえがみ
もうすぐ十五になるのに
おまえのまえがみさげまえがみ

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蟻が塔を登ってく
父さんとうとう塔の中
囚われ人さとうとう

とうの中にははっかとう
とうの中にはふきのとう
とうの中には蟻が十

蟻が塔を登ってく
囚われ人の父さんへ
べんとう持って行くところ

注:
「蟻」=あり
「塔」=とう
「囚われ人」=とらわれ びと
「十」=とう

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事件


一けん目のひとごろし
二けん目でにげた
三げん目でさがせ
四けん目のよっぱらい
五けん目でごうとう
六けん目のろくでなし
七けん目で泣いている
八けん目の花子ちゃん
九けん目で消えた
十けん目でじゅず玉


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お寺の桜が満開だ


お寺の桜が満開だ
お寺のゆうちゃんがむかえにきた
今日の夕方の鐘をおれが撞くから
見せてやると言ってむかえにきた

注:
「撞く」=つく


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